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【宗派別一覧】お焼香の回数と「押しいただく」作法の違い

岩波 蒼 岩波 蒼 • 更新: • 公開: • 読了約 8 分
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通夜や葬儀の席で順番が近づくにつれ、「お焼香の回数は何回だったか」「お香を額に掲げるべきか」と焦りを覚えた経験を持つ人は少なくありません。仏事の作法は宗派ごとに細かく定められており、1回から3回まで明確な違いが存在します。

大切な故人を見送る場において、形式への不安から落ち着きを失ってしまうのは本末転倒です。各宗派の正式な作法と意味、さらには参列先の宗派が分からない場合でも失礼にならず堂々と振る舞える実践的なマナーを整理しました。

【宗派別一覧】お焼香の回数と「押しいただく」作法の違い

お焼香回数

お焼香の作法で最も混乱しやすいのが、「回数」と「抹香(まっこう)を額の高さまで掲げる動作(押しいただく・額にいただく)」の組み合わせです。主要宗派ごとの正式な手順は以下の通り明確に分かれています。

宗派・派閥 焼香の回数 額にいただく(押しいただく)か 作法の意味・背景
浄土真宗 本願寺派(お西) 1回 いただかない 阿弥陀如来への感謝を込めてそのまま香炉へ落とす
真宗大谷派(お東) 2回 いただかない 本願寺派同様、香を額にかざさず2回くべる
曹洞宗 2回 1回目のみいただく
(2回目はそのまま)
1回目は主香(祈念)、2回目は従香(火を絶やさないため)
臨済宗 1回(または2回) 押しいただく(寺院による) 心を込めて1回行うのが一般的。厳格な規定は少なめ
真言宗 3回 3回ともいただく 「身・口・意」の三業を清める、または三宝供養の意味
日蓮宗 1回または3回 押しいただく 仏・法・僧の三宝供養、導師への敬意を表す
浄土宗 特にこだわらない
(1〜3回)
押しいただく 回数よりも念仏を称えながら真心を込めることを重視

このように、浄土真宗系では「故人はすでに阿弥陀如来のお導きで極楽往生している」という教義(往生即身仏)に基づいているため、香を自分の都合で祈念として捧げる「押しいただく」所作を行いません。一方で真言宗や日蓮宗などでは、香を額にかざして身を清めるプロセスを重んじます。

基本のお焼香のやり方|立ち居振る舞いの基本ステップ

座礼(座って行う焼香)や回し焼香(香炉が順に回ってくる形式)などもありますが、現在の斎場で最も標準的な「立礼焼香」の流れを押さえておけばどの現場でも応用が利きます。

【立礼焼香の基本手順】

  1. 祭壇へ進む:順番が来たら立ち上がり、参列者・遺族に軽く一礼して焼香台の手前(1歩手前)まで進みます。
  2. 遺影・本尊への一礼:遺影を仰ぎ、深く一礼(合掌または傾頭)します。
  3. 抹香をつまむ:右手の親指・人差し指・中指の3本で抹香を軽くひとつまみします。
  4. 押しいただく(宗派に応じて):必要に応じて額の高さまで掲げ、故人の冥福を祈ります。
  5. 香炉にくべる:指をすり合わせるようにして、静かに火種(炭)の上に落とします(指定の回数繰り返す)。
  6. 合掌・礼拝:両手を胸の前で合わせ、数珠をかけて深く合掌礼拝します。
  7. 後退して一礼:2〜3歩静かに後退し、遺族に一礼して席へ戻ります。

【実態検証】宗派が分からない時のスマートな対処法

葬儀に参列する際、喪家側の宗派を事前に把握していないケースは大半を占めます。知恵袋やSNSなどのコミュニティ調査でも「受付で宗派を聞くべきか迷った」「前の人の真似をして間違えたら恥ずかしい」といった不安の声が数多く見受けられます。

結論から申し上げますと、宗派が分からない場合は「心を込めて1回押しいただく」あるいは「自身の信仰している宗派の作法で行う」ことで何ら失礼には当たりません。

仏教の儀礼において最も重視されるのは形式の完全性ではなく、故人を悼む誠意です。他家の宗派に無理に合わせようとして動作がぎこちなくなるよりも、丁寧な所作で一連の流れを完了させる方が現場の作法としても評価されます。また、前の参列者の所作をさりげなく観察し、同じ動きに合わせるのも実用的な防衛策です。

一般に知られていない盲点|「焼香1回」が増えている現場の理由

近年、通夜や告別式の現場で司会者から「ご参列の皆様は、ご焼香を1回ずつでお願いいたします」というアナウンスが流れる場面が増加しています。これには都市部の葬儀事情が深く関係しています。

参列者が100名を超える葬儀で全員が真言宗の作法通りに「3回ずつ押しいただいて焼香」を行った場合、焼香時間だけで1人あたり30秒〜40秒、全体で1時間近くを要してしまい、出棺や火葬場の予約時間に支障をきたす恐れがあります。そのため、式進行の都合上、宗派の正式な回数にかかわらず「1回焼香」に簡略化することが葬儀業界の標準的な運用となっています。

家族葬など少人数の葬儀では時間を気にせず各宗派の作法通りに行う余裕がありますが、案内があった場合は会場の指示に従うのが大人のマナーです。

【プロの結論】形式美にとらわれすぎない供養の本質

作法やマナーを学ぶと「間違えたら不作法と見なされるのではないか」という心理的プレッシャー(同調圧力)を感じがちです。しかし、葬儀の場における作法の違いは教義解釈の歴史的変遷によるものであり、どれか一つが絶対的な正解というわけではありません。

大事なのは「手元を乱雑に扱わない」「落とした香を散らかさない」「遺族や故人への敬意を込めて合掌する」という立ち居振る舞いの落ち着きです。回数や細部に過剰な不安を抱くことなく、最後の別れの時間を心穏やかに過ごすことこそが最良の供養となります。

【お 焼香 回数】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:線香を立てる焼香の場合、本数は何本が正しいですか?
A1:線香の場合も宗派によって異なります。曹洞宗・臨済宗・日蓮宗などは1本を立て、真言宗・天台宗は3本立てます。浄土真宗では線香を立てず、適当な長さに折って「寝かせる」のが独自の作法です。

Q2:数珠(じゅず)を持参し忘れた場合、お焼香はどうすれば良いですか?
A2:数珠がなくてもお焼香をして問題ありません。素手のまま丁寧に手を合わせ、深く合掌・一礼を行えば失礼には当たりません。他人の数珠を借りて参列するのはマナー違反とされています。

Q3:キリスト教式や神道の葬儀でもお焼香はありますか?
A3:キリスト教式では「献花(けんか)」、神道(神葬祭)では「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」を行い、お焼香は行いません。それぞれの宗教儀礼に応じた手順が案内されます。

お焼香の回数は宗派によって1回〜3回と定められていますが、基本構造は「抹香をつまみ、必要に応じて額に掲げ、香炉にくべて合掌する」というシンプルなものです。

参列先で迷った際は「心を込めて1回押しいただく」ことを基準にし、会場でアナウンスがあった場合は指示に従って進行を優先させましょう。正しい知識を頭の片隅に留めつつ、故人を偲ぶ気持ちを第一に参列してください。

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コンテンツディレクター 岩波 蒼
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